Center for Professional Exchange (CEPEX)は、日米間を中心として、専門的職業に結びつく形での教育・研修の人材交流をサポートするNPO(民間非営利団体)として、2005年春ワシントンDCに設置されたものです。

昨今、日米関係が史上最良という声を良く聞きます。他方においては、「問題がないのが実は最大の問題だ」という逆説的な指摘もあります。どちらも半面の真 理を衝いていると言って良いでしょう。確かに、十年前にみられたような日米間の懸案事項はほとんど解消されたかに見えます。しかしその一方で、米国におい て、日本を研究や関心の対象とする意欲が顕著に低下してきていることは否定できません。

国家間関係は不透明です。もちろん、日米関係が良好であることは望ましいことでしょうが、いつ何時これが悪化するかは「神のみぞ知る」なのです。そして、 両国間に再び重大な問題が生じたとき、日本を理解する人材が米国にどれだけの厚みをもって存在しているかは、日本にとって決定的に重要と言えます。ところ が現状はどうでしょうか。日米貿易摩擦が厳しさを増していた1980年代後半の「日本学習熱」はすっかり冷めてしまっており、このままでは将来の日米関係 を担う人材が非常に乏しくなってしまいます。ほんの十年後にはもうそういった状況になってしまうかもしれません。そして、人材の厚みは、いったん失われる と、再構築には大変な労力を要するのです。

「今ならまだ間に合う!」そういう想いで、私たちはCEPEXを立ち上げました。私たちは、CEPEXを通じて日米間の高等教育・研究機関の交流を促進す る事業を行うことによって、日米の架け橋となる人材の養成を側面からサポートし、長期的に国際社会に寄与する存在でありたいと願っています。

こういった活動を行っていく上で、ワシントンDCという場は恐らく最も有利な条件が備わっています。ワシントンDCには、公共政策や国際開発等の分野を中 心として、日本の専門家がまだまだ多く集まっているのです。現在のところ、彼らの活躍するチャンスは少なくなっており、そのパワーをいささかもてあまし気 味ですが、彼らも自分たちが役に立てる機会を待ち望んでいるのです。そして、日本専門家の活躍機会が増加すれば、次の世代は確実に育ってきます。そしてそ れは、日本を学び日本を理解することを望む人たちのキャリア支援にもつながっていくことでしょう。

こうした問題意識から、CEPEXは、ワシントンDCで日本人が中心となって設置されました。ですが、CEPEXの主旨には、数多くの米国人が賛同してくださり、直接的間接的に私たちをサポートをしてくださっています。

日米の企業、大学、自治体、研究機関の皆様方のさまざまな教育研修ニーズにお応えし、日本を学び理解する希望を持つ人たちをサポートしながら、CEPEXはささやかながらも社会的貢献を行っていこうと思っています。

理事長    多田 幸雄
所 長    丸楠 恭一
副所長    中林美恵子
専務理事   松山 幸子
企画担当理事 河上 百合